ライフ イン スウェーデン

スウェーデンでの日々の雑感、旅行記、サッカー観戦記、などなど。

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約束の冬 宮本輝 

宮本輝は大学生時代によく読んだ。
とても好きな作家だった。
社会人になっても読んでたが、ある日読まなくなった。
私もよく知っている場所の風景描写がありきたりでぶちぎれたからである。

まあ、それだけ彼への期待度が高かったのかもしれないが。

そして、ほぼ10年振りに彼の作品を読んだ。

約束の冬

蜘蛛が飛ぶなんて知らなかったし、それを「雪迎え」ということも知らなかった。

この作品を一読して、懐かしい、「宮本節」というようなものを感じた。
けなげに生きる人、先人の言葉の意義を人生に生かそうとする人、命の尊さを知る人。
痛みからたちあがろうとする人。信念を持って生きる人。実直な人、大昔の約束を守ろうとする人。
「いい顔」をしている人。美しい人。外面も内面も。

あとがきに「このような人が自分の近くにいてくれればと思える人物だけをばらまいた」と書いてある。
まさにそんな感じの登場人物群

最初、ネタバレありと書いたが消した。

読み始めたら、結末がどうなるかすぐわかるからである。

その「約束の冬」の地へ10年間の心の動きの説明はない。

あなたは10年前の約束を守れるか?そもそも覚えてないだろう。

会うこともなかった月日に何を支えにしていたのだろう?ま、それが小説というものか。

「人は何を拠り所にして生きていくのかを問う、宮本文学の新しい傑作」とバックカバーにある。

人との交流、心のふれあい、今までの人生の積み重ね、そして、前に踏み出す勇気。
そんなところだろうか。

本編の主人公は54歳のおっさんと32歳のおねえさん。私はその間のどこかなのだが(笑)、何が拠り所かというと即答できない。しかし、今ここにいるまでに若いころからの自分がしてきたこと、そしてその自分を支えてくれた人たち、それらの積み重ねの上を、先の見えない世界にむけて歩いているという感じだろうか。

ところで、スウェーデンでも蜘蛛は飛ぶのだろうか?私は今まで見たことはないが。
雪迎え、この時期、もう寒くなったのであまり外に出る時間はないが、見かけることができるだろうか。

しかし、実は最後のどんでん返しにみごとひっかかった。これは予期せぬ付加価値となった。

昔好きだった彼の作品群を読み返したくなる一冊。

余談、昔彼の講演を録音したものを聞いたことがありました。
大学か予備校の国語のテスト、彼の作品が題材で
「ここでの作者の意図を述べよ」
という問題に対して彼が書いた答えがことごとく間違っていると採点された。
そんな部分もあるユニークな講演でした。

青が散る、のラストには胸が苦しくなったなあ、女性なんてきらいだあ、みたいな。
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